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猫がこねる わたしゃ文字打つ

『君に届け』22巻までの感想② 千鶴のおにぎり

『アオハライド』が来月発売の別マで最終回ってことに驚いている。前回で主人公の二人が晴れて両思いになって、今後はベタに新たな敵が現れたり障害が起こったり、という長期連載になっていくとばかり思っていた。今月の引きでは馬淵くんが何やら一人で考えてることがあるみたいで。これは遠距離恋愛に突入かなあ。医者になるとかいうのかなー。関係ないけど咲坂先生の描く涙袋のある男の子ってかっこいい。

 

君届は相変わらずすごい。すごいのは、主人公以外の登場人物のサイドストーリーが主人公並みに分厚いってこと。ちゃんと爽子&風早のメインもやりながらで、でも「いろんな人のモノローグが多すぎてわからない」ってこともなく、展開がわかりやすい。

 

千鶴と龍の過去話(15巻)では、二人の好物のおにぎりが重要なキーポイントになっている。小学生で母親を亡くした龍に、誰にも言わずにへたくそなおにぎりを届け続ける千鶴。もともと感情が伝わりづらい龍が、母親の死別から泣かず笑わないことに千鶴は気づいている。

千鶴がおにぎりを届けに行ったある夜、龍が玄関を開ける。「これ…龍にっ…」のあとには嗚咽しか続かない。龍も初めて涙を流す、母親の死を受け入れたシーン。

千鶴は海辺で龍に約束するのだ。

ちづね、あんたのきょうだいになるから なるからね、ぜったい

永遠に失ってしまった龍の家族の穴を埋めようとしている千鶴の思いと、千鶴をずっと好きでいる龍の思いのすれちがい。もうこれ、サイドストーリーじゃないでしょ…。

高校の修学旅行で龍からの告白を受けて千鶴はとまどう。ここから龍の猛プッシュが始まる。肩を掴んで「終わらせろ!」発言とか、クリスマスにピンクのバラを渡して「千鶴みたいじゃない?」とか、龍、マジで男前だ。龍に急速に惹かれていく千鶴。でも家族から恋愛関係になってしまうことのもろさにも気づいている。徹に打ち明ける(19巻)会話がこれ。

千鶴:あたしさ、ずっと龍とそばにいると思ってたんだよ …ずっとさ お互いに彼氏とか彼女ができても 結婚しても 子どもができても ずっと…

徹:つきあわずにずっとそばにいるのを成立させるのは 難しいよ

千鶴:つきあって…別れずにずっといるのは?

徹:それも難しいよ でも別れなければ死ぬまで一緒だよ

この「死ぬまで一緒だよ」と言う徹は、亡くなった母親の顔によく似てるんだよ。。

22巻で、龍と千鶴はお互いを好きでいることを確認する。千鶴は初めて龍のいない寂しさから野球を頑張る龍を素直に応援できなくなっている。幸せなシーンのはずなのに、龍にキスされながら「あたしのすきは 竜の足をひっぱる」というモノローグには胸がつまった。好きでいることも不安なのに、なし崩し感でくっついちゃう感じがたまらなかった。

龍は卒業後は札幌の大学へ、千鶴は地元に残ることを決めているけど、二人の関係は今後どうなるのかな。

 

読み返していると猛烈におにぎりがたべたくなった。漫画にも出てくる「たまごマヨ+かつおぶし」で作ってみる。学校にもっていく=冷めても食べれるようにと仮定して、たまごは半熟じゃなくてしっかり固ゆでで、しょうゆも入れてみた。

おにぎりとたまごマヨ、めっちゃ合う!おかかが利いてて海苔にも合って、これはハマりそう。あと具をしっかり入れたいから、漫画みたいにおにぎりは巨大になるね。

これって龍と徹の母親の味なのかな。4分の1スペースで作者も「おにぎりってすばらしい」って言っている。同感。